中国から見たインド「傲慢なインド」

中国語の勉強として読んでみよう

中国の雑誌で傲慢なインドという記事を読んだ。

ソース(中国語): http://www.lifeweek.com.cn/2013/0123/39761.shtml

中国というインドのライバルとしての批判したくなる立場ではあるが、僕はこの記事を読んで、内容は間違いでもないと感じた。以下は本記事のまとめ。

インドの状況

1、効率が非常に悪い

鳥葬をするジャイナ教徒が死ぬ前に鎮痛剤を使うことで、禿鷹が激減した。禿鷹が鎮痛剤を体内に残っているジャイナ教徒の体を食べて、毒を取り込んで死んでしまうのである。そこで、鳥に有毒な鎮痛剤を禁止するべきかどうかを決めるようとしたが、6年もかかってしまった。

さらに、社会主義の中国と比べると、土地収用にも時間がかかる。

これはインドビジネス―驚異の潜在力 (祥伝社新書 (050))でも指摘されています。

カーストと長所と短所、それによる腐敗

カーストには長所もある。例えば、商人階級でノウハウが蓄積される。短所として、よく言われる不平等の他に、腐敗につながる例がある。Bihar州のLaloo Yadovは低いカーストの出身で、低いカーストは彼を代弁者だと言って、彼を選んだ。さらに、弁が立つのでボリウッド(インド版のハリウッド)スターにも宣伝してもらえた。一方で、彼はBihar州の経済を悪化させた。具体的なことは雑誌には載っていない。

経済が安定してない

2012年の成長率がたったの6・4パーセントしかないという。

傲慢な中国?

筆者の体験があった。ムンバイからの鉄道で、弁護士の乗客と話をして、2007年ではインド人はムンバイは上海より発展していると考えていたが、今は違うだろう。今の上海はこんな感じで…と話したら、彼はうんうんと頷いただけであった。ただこれだけで、「うらやましいという様子が全くない」とあった。

これを見て、日本人である自分は「うらやましがって欲しいなんてこの中国人記者は傲慢だな」と思った。しかし、私も含め多くに日本人も外国人に対して「日本はこんなに豊かだ」という前提の発言をしてしまいがちなので、他人の事は言えません。

 

だが、確かに中国のほうが発展している。インドには行ったことはないけど。具体的にはGDPや鉄道のスピードなどを挙げている。60年代、インドと中国の経済規模は同じくらいだったが、今は全然違う。他には、中国は街の外観が毎年劇的に変化するが、インドはあまり変わっていないことも挙げている。
他にも、インドは非常に不潔だ、とか書いてあったけど、中国も、インドほどではないとしても、すごく汚い。それには全く触れないで、インドが不衛生なのは悪名だかいなんて、傲慢だと思う。

物質的な豊かさを求めないインド人

5000年のインドの歴史の中で良い時も悪い時もあった。まさにそれがインドの歴史であって、インド人はそういうものだと思っているらしい。良い時や悪い時は運命で神が決めるものであると信じているらしい。

だが、それがインドの経済発展を阻害する原因だと言う。インドにはたくさんの宗教があり、そういう哲学が一般的なのだろう。

インドの公立・私立校

インドの公立校も悪名高い。先生が無断で欠勤したり、出勤しても、授業に出なかったりするときがあるらしい。生徒の習得率も、5年生でも2年生の算数がわからない生徒が半分いる。だから、私立に通わせたいと思うのが一般的だという。大きく分けて、2種類あり、ひとつは高額で全教科英語でするところと、一般のこどもでも行ける私立がある。 

1、マザーテレサへの賞賛と批判。全体的には批判に傾いている。

バングラディシュの隣に位置する西ベンガル州で、州都カルカッタにマザーテレサの病人収容所がある。そこを記者が取材した。

カルカッタはパキスタン分離で東パキスタン(現バングラディシュ)からヒンドゥー教徒難民が大量に押し寄せた。さらに、街にもヒンドゥー教の子供が棄てられているが、これはヒンドゥー教のシステムと関係がある。イスラム教徒は無償で子供を勉強させる仕組みがあるため、一家に平均7人の子供がいる。

一方で、ヒンドゥー教徒は二人に過ぎず、大都市では更に少ない。1947年に独立した時はイスラム教徒が2000万人だったのが、今では11倍の2億3000万になった。ヒンドゥー教徒は2億7000万から7億で、3倍にしか過ぎない。いつか、インドの大統領がムスリムになるかもしれない。 

こういう貧困の背景があるなか、マザーテレサは収容所を作ったが、日本人ボランティアも指摘するように、病気を治したりしない。収容所はマザーテレサがキリスト教を布教する為の広告塔に過ぎないと指摘している。

2、インドの農業の歴史から民主主義の失敗を論じている。

モンサント(Monsanto)という植物の苗の会社がある。この会社はインド市場で一番大きな遺伝子組み換え種子を売っている。その苗を借金して買って、首が回らなくなり自殺した男性のことで有名になった。多くの人がモンサントは酷い会社だと言う。遺伝子組み換えは環境にも人体にも悪影響があるという。
そこで、政治家も調査や法律を作って遺伝子組み換えを禁止した。インドは民主主義国なので民衆の声には逆らえない。(日本からするとわざわざ書くほどのことではない。)

だが、環境保護局が否決して、この技術の使用を各州に委ねた。2州を除き、他全ての州で禁止された。そこに、科学者から反対があり、最高裁判所で審議されることとなったが、裁判所は判断を避けて、各界に意見を求めた。すると、先ず、国会が任命した専門委員会が分厚い報告書を提出した。この委員会というのがすべて職業政治家で一人も科学者がいないという。

しかし、科学的には遺伝子組み換えが無害であることは証明されている。だが、政治家は選挙が大事なので、有権者向けの公約、つまり遺伝子組み換え反対の公約を打つ。遺伝子組み換えに反対するのは貧民で、読み書きすらできない人が多い。彼らは実質誰が政治家になろうと関係なく、明日の飯が一番の問題である。

 

簡単に言うと、インドは民主国家であり、政治家は選挙の為には科学すら軽んじる上に手続きが(中国から見ると)長いということだと僕は理解している。

 

僕のコメント

インドは汚職が一番の問題だと思って、その例を知りたかったが、中国からの視点ではそれが載っていないというのには、意味があるのか?インドの汚職を報道すれば、汚職は中国だけの問題じゃないですよ、というメッセージにもなると僕は思った。

中国が民主主義を批判したいとうことはないだろう。一般の中国人はインドに対してというか、先進国以外に対して無関心で見下している。ニュースは右派の新聞に載る軍事関係と最近の輪姦事件でだけインドが出現する。
記事の論点はつまり、インドの民主主義はポピュリズムに陥っているってことか。昔から識字率も高くて、平均的国民の教育水準の高い日本でさえポピュリズムに陥っている。アメリカはどうか知りたい。因みに、作家橘玲によると投票と宝くじは同じくらい無意味だと言う。

ソース:http://diamond.jp/articles/-/30600

 

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