外国語学習に効果的なフレーズの暗記と4種類のフレーズの探し方

以前の投稿で外国語学習に成功する人の習慣として以下のものを紹介しました。

参考記事:言語学が教える外国語学習に向いている人とは

ルールを覚えてそれを適用するよりも、膨大な数のフレーズを覚えて使いこなすことが重要

引用:『外国語学習の科学ー第二言語習得論』

これはどういうことなのか解説します。

うまくいかない人の話し方

例えば、中学高校生が英作文をする時はどのように作文するか考察してみましょう。

  1. 大体の文章の流れを日本語でまとめて(私は弁護士になりたい)
  2. 正しい英文法の語順で英単語に並べていく

2で以下のような作業をする。

  1. まず主語 I
  2. 次に動詞 「なる」be、「なりたい」want to
  3. 補語 a lawyer
  4. ピリオドを打ってできあがり。

効率良く外国語を話す人の場合

  1. I want to beを話しながら(或いは書きながら)
  2. 次に言う単語a lawyerを瞬時に頭の中で見つけます。

このように上の方法より格段に効率が良いのです。なぜ I want to be ~ というフレーズを一から作らなかったのかというと、このフレーズのまま使われることが多いので、その中を文法で分析してバラバラにせずに記憶に貯蓄しているからです。

「いや、I want to beくらいはおれだって一息で言えるわ」という人もいることでしょう。では、もっと色んな表現も覚えましょう。成功する人というのはこのようにそのまま使えるフレーズをたくさん貯蓄しているのです。

外国語丸パクリが効果的な理由

英語母語話者の英語を聞いたことがない人が英語の文を作ろうとすると、どうしてもその人の母語の影響などがあり、自然でない表現を使ってしまい、最悪の場合は外国人には通じないこともあります。(英語母語話者ではない外国語として英語を学んでいる人には通じるという状況もあります。)

例えば、日本人なら日本語の決まり文句は自分で作り出すのではなく、今まで見たことのある言葉を使います。皆母語ではかなり今まで聞いたフレーズを使っています。

「立ち入り禁止」

「関係者用入口」

「この先入るべからず」

この言葉をそのまま使えば良いものを、外国人が自分で考えて文を作ると以下のような文が出来上がるかもしれません。

「この扉は使うことができません。」

「侵入は禁じられています。」

「関係者以外は許されません。」

この例はわかりやすいように標識などの決まり文句を挙げましたが、会話でも共通する部分が多いです。

さらに、文を1から組み立てるための情報処理の負荷が大きく、効率が悪いです。文の構造があらかじめ完成していると、文章を作る時に省エネできます。

フレーズを暗記する際の心得1つ

フレーズを覚える際の方法で大事なことは1つです。いろんな文章を見る時に、自分が使う時の状況を思い浮かべながらこの文は役立つだろうかと考えながらみましょう。

フレーズの集め方4種類

  1. 普段からたくさんインプット
  2. ネイティブチェックを受けて暗記
  3. ネット辞書で用例チェック
  4. 言いたい表現が使われていそうなサイトを探す

1.普段のインプットに関する心得

その為にフレーズが頭の中に貯めていないといけません。教材などを見て、そのままの形や、単語だけを入れ替えて使えそうな文をそのまま暗記しましょう。これが上の引用で言うところの「フレーズの暗記」です。

下記の言語の例を紹介しております。自分が必要な項目だけご覧ください。

  • ポルトガル語
  • インドネシア語
  • 中国語
  • ベトナム語

例えば、ポルトガル語の学習で

例文として

Você fala inglês?

が挙げられている時に、文法だけに着目するのではなく、この文をそのまま使う状況を考えましょう。例えば、ブラジルに行ってポルトガル語ではあまり理解できない時に、「英語は話せますか?」とお願いする状況があるかもしれません。この文の主語を以下のように「彼は」に換えても文章は成立します。

Ele fala inglês?

また

Posso fumar aqui?

という文の後ろを入れ替えることで状況に合った文を作ることができます。このpossoを原形のpoderから一人称に活用させようとは考えずにposso~で文章を作るように心がけたほうが早くポルトガル語を話せます。

インドネシア語の場合

Mulai hari ini saya akan bagun pagi-pagi.(今日から早起きする。)

単独のmulaiだけだと、ウェブサイトなどで「開始する」の意味で用いられます。この文での場合は、「~(時間)から」という意味で使われています。この文を基にカスタマイズすればいろいろな文章を作ることができます。

例えば、

  • 時間を入れ替える:今日(hari ini)を「明日」にする
  • 動作(動詞)を換える:「英語を勉強する(belajar bahasa Inggris)」

中国語の場合

以前僕が中国語を覚える時に一番効果があった学習法で紹介した通りです。別の例を挙げてみます。丸暗記すると役立つ文として以下の文章を例に挙げます。

 

在中国以尖子教育为主。

 

以~为主という言い方は中国人も良く使いますが、日本語から直訳する時にはやや使いにくい表現です。例えば、「日本人は主に現金で支払いをします。」という文の「主に」を直訳するより、上の文章を活かして、

 

日本人以现金支付为主。

 

とする方が自然ですし、暗記したフレーズを少しいじるだけで文章が作れるので効率的です。中国語のフレーズを覚えるのに便利なのは『今すぐ覚える音読中国語』

ベトナム語の場合

ベトナム人に空港で

Em đi đâu?(どこ行くの?)

と言われたことがあります。ベトナム人が使っていたということは、僕が同じ文を使っても通じるということです。以下のように主語を換えてみて

Anh đi đâu?

にしても問題ないはずです。

下の本にあるこの例文

Trong phòng có mạng LAN không?(部屋にLANケーブルはありますか)

をそのまま使うこともできますし、LANケーブルを換えて「テレビ」にしても使えます。ベトナム語のフレーズ集なら『パーフェクトフレーズ ベトナム語日常会話』がおすすめです。

参考記事:旅行の際に覚えるべき単語、ベトナム旅行使った会話例を参照する

2.ネイティブチェックをしてもらったものを丸暗記

lang-8やitalki.comでネイティブに書き直したものは完全に自分が言いたいことと一致しますので、そのまま暗記すれば良いです。その後は、その文の単語を入れ替えるだけで間違いのない文を作りつづけることができます。

3.使い慣れない単語の用例を即座に(オンデマンドに)集める

今まで使ったことない単語を使う時は、ネット辞書で用例を探しましょう。

例えば、こんなネット辞書があります。

http://en.bab.la/

使用例が下の図のように豊富です。

外国語用例のオンライン辞書

使ってみた例を他の記事で説明しましたので、参照してください。

参考記事:学習期間1か月でブラジル人とポルトガル語で交流できたナゾ

4.言いたい表現が使われていそうなサイトを探す

直接自分の外国語表現で検索するのではなく、関連するサイトを探します。

例えば、天気予報を英語で書きたい時には、辞書で単語を調べるのではなく、英語の天気予報のサイトを見て表現を調べます。

または「猫と遊んだ」という表現を英語で探す時は、猫の飼い方のサイトを探します。この方法はひと手間かかりますが、自分が探しているもの以外にも、自分が知っておくと便利な自然な外国語表現や外国人の考え方などにも触れられるので面白いです。

<その他の外国語の覚え方>