前回はネイティブの英語を聞くという側面から考察しました。今回は、自分で話す場合を考えてみます。
ネイティブの語感の習得はほぼ無理
母語話者と同じ言語感覚をつかむのは、12歳頃(臨界期)を超えるとほとんど無理です。子供が自然に言語を習得していくプロセスと、大人が人工的に学習していくのでは、方法が違います。子供は、放っておいても友達との会話で第二言語を習得していきますが、大人はアメリカに着いた後も全然進歩しないことがこれを示しています。
言語の語感はどう形成されるのか
母語話者の語感とは如何に作られるものなのでしょうか。ネイティブの文法習得法でよく指摘されるのは「機会欠如」にも関わらず、一定の文法をみんな同じように習得する不思議さです(詳しくはUG理論、生成文法を参照してください)。
語感の形成方法は、文法よりも個々人での違いが大きいですが、上の文法と同じです。母語を覚える時には十分なインプットがなく、間違えた文も聞いているにも関わらず、誰もが一定の同じような語感を身に着けます。
私の想像では、その表現に触れたことがあるかどうかで人は自然かどうかを判断しているのだと思います。例えば、「急がば回れ」を聞いたことのなく、且つ古語の素養がほとんどない現代日本人がいるとしたら、この表現を不自然と思うかもしれません。
次回は、ネイティブに近い語感を身に着ける方法を考察します。
<外国語の感覚>
- 外国語を母語のように見るための2つの解決方法と視点
- 不自然な英語・外国語が教科書に載っている理由
- 言語による単語の表現の違い、感覚の違い
- 学校で習った国語と読書は外国語で役立つ
- 日本人は頭の中で動詞を活用しているのか、それとも活用形を別単語として認識しているのか
関連図書:『第二言語習得研究の現在―これからの外国語教育への視点』