中国語などの「ご飯食べた?」は「こんにちは」という意味ではない

挨拶表現は語学学習の一番最初に習って、その後もずっと使うことが多いです。しかし、その構造については分析せずにそのまままる暗記することが多くて、誤解していることがあるかもしれません。

「ご飯食べた?」を「お元気ですか?」と入れ替えて考えてみる

中国語の教科書を読むと、中国語では人と会った時に「吃饭了吗?(ご飯食べた?)」と声をかけることがあると書いてあり、確かに中国の生活でもよく使われます。これを誤解して、中国語では「吃饭了吗?(ご飯食べた?)」が「こんにちは」という意味になると思っている人がいます。

もし、「ご飯食べた?」が「こんにちは」という意味なら、「ご飯食べた?」に対して、「ご飯食べた?」と返せるはずですが、それはおかしいです。日本語で考えると、「お元気ですか?」に対して返答せずに「お元気ですか?」と言い返すようなものです。

人に会っていきなりなぜそんなことを聞くのか

なぜこのようなことを聞くのかと言うと、相手に対する気遣いの一種です。相手に対して、ちゃんと食事をとって健康に過ごしているのかを心配してあげる気持ちを表しています。もちろん、まだ食べてなかったら一緒に行きませんか?という展開の為に聞いている可能性もありますが、そのつもりがなく聞く場合の方が圧倒的に多いです。

先生から学部長や、社員から社長になどの目上の人に対して言っているのは見たことがありませんが、よくわかりません。

日本人同士での出会い頭のセリフ

日本人同士の会話で考えると、親しい間柄で街で偶然出会った時に「こんにちは」や「やあ」など言わず、「どこ行くの?」「何してるの?」などと聞くように、正式な挨拶表現を使うのは堅苦しいけれども、形式としてちょっと聞くのと同じです。

中国人も日本人のように天気の話をしますが、天気より食事の有無という相手に関することを話した方が良い人だという印象を受けるのかもしれませんね。私は個人的には天気の話の方がまだ興味があります。

日本語の「こんにちは」の成り立ちとの比較

日本語の「こんにちは」は:

  • 「今日は(その日の天気などの様子)ですね。」
  • 「今日はご機嫌いかがですか?」

の後半が省略されてできているそうです。(ソース:ネット)この例から見ると、日本語ではToday is.がHelloのような挨拶の機能があるとも言えますが、中国語の「ご飯食べた?」は日本語の「こんにちは」の成り立ちとは違います。

いつ「ご飯食べた?」と聞くのか

例えば、牛乳屋で牛乳を買いに行くと、店員さんに「ご飯食べた?」と聞かれたりします。そのような時は「我吃了。你呢?(食べました。あなたは食べました?)」と返答するのが良いです。本当に知りたいから聞いているのかと言えば、それほど興味もないです。

そこで、会話が途切れてしまうのか、或いは会話を展開できるかは各人のコミュニケーション能力次第です。外国人とよくしゃべれる人というのはこのような雑談や世間話が上手な人なのでしょう。そして、そういう人が外国語が上手になるのでしょう。

各国にある「ご飯食べた?」

中国語しか習ったことがない人は、この表現が中国語圏の特徴だと思うかもしれませんが、ベトナムやミャンマー、インドネシア、マレーシア、タイなどでも同じように使われます。ひょっとしたら、この表現は中国由来で華僑が広めたのかもしれませんが、よくわかりません。ただ、他の国でもよく使われるということは確かです。

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