中国とアフリカの関係の本の書評

アフリカのことは日本からはあまり見えてこない。中国の一般市民もアフリカを遠いところだと思っていることは共通しているのだが、そうこうしているうちにアフリカとの関係構築に関しては中国に大きく後れを取っていると言われている。

『経済大陸アフリカ』という本は一章からいきなり、中国のアフリカ援助のことが書かれている。

現地アフリカ人を雇用しないことには実は理由がある

中国は海外に援助を出すが現地人を雇用しないと批判されることがあるが、この批判は的をはずれだと書かれている。

アフリカの人件費は高い

中国や東南アジア、南アジアなどに工場を作るのは現地の人件費が安いというのがよく言われる理由である。

人件費の安さで考えると、将来アフリカが有望と考えるかもしれないが、実はアフリカはアジアの発展途上国より人件費が高いらしい。その原因は、食糧を海外から輸入することで物価全体が高くなるからだと聞く(ソース失念)。

中国語で書かれた技術書

これが中国がアフリカでの援助に現地人を雇わず、中国人を連れて行く理由だと本書に書かれている。また、技術書など各種資料が中国語で書かれていることも理由だと言う。

(技術書などの面では日本と中国は同じ条件だと思います。つまり、日本も技術書などを日本語で書かれているけれども、現地人でもわかるように英語などの現地語に翻訳しているのではないかと思いました。私も実際のところは詳しくわかりません。)

内政不干渉の援助

アフリカは長年欧米諸国や日本から援助を受けている。欧米はアフリカを援助する見返りに、民主化などの注文をつける。一方で、中国は内政不干渉を標榜した援助をするので、アフリカ側としては都合が良い。

また、そもそも中国自身が民主国家ではないので民主化を要請する立場にない。しかし、最近では中国の影響力も大きくなるにつれて、アフリカに対しての責任も無視できなくなっている。

金で石油でもレアメタルでも何でも買えるとは限らない

そもそも中国がアフリカと関係を深めたのはどんな先見之明があったのか。たくさんの動機があるだろうけれども、一つは資源だと言われる。

将来伸びる需要

中国ほどの巨体が経済成長すると歴史上類を見ないレベルの資源が必要になり、資源のあるアフリカが中国にとって重要になるのは当然である。そのために、中国は油田等資源を合弁会社設立などの方法で確保している。

資源のリスク分散

金さえ払えば何でも買えると思われがちだが、実は様々な要因で供給が不安定になることもある。軍事的な面でも、海上輸送の経路を遮断されたりしても、自国が兵糧攻めのように干上がってしまう。

簡単なたとえをすると、大地震が起きて、物流がマヒすると、お金を持っていてもコンビニに商品が届いていないという状況が似ている。

中国でアフリカ人が多い地区

広東省広州市の小北や淘金という地区の辺りは、アフリカ人やアラブ人など外国人を多く見かけるエリアです。現地の中国人も彼ら外国人が何をしているのか知らないと言っていました。

<外国から見た外国>