EUの首都ブリュッセルで英語はどのような役割を担っているのか

以前の投稿ではスイスでの英語の役割を調べてまとめた。

スイス人は英語と公用語にどう向き合っていくのか

今回はある意味で似たような国際都市であるベルギーのブリュッセルを調べてみました。

この投稿はネット(英語・フランス語)で調べたことを基に書いており、私は現地に行ったことがありませんので、現実との乖離があるかもしれないということを念頭に置いて読んでください。

ブリュッセルは歴史的にどの言語圏だったか

ベルギーは

  1. オランダ語を母語とする人(néerlandophone)の北半分
  2. フランス語話者(francophone)の南半分
  3. 南側の東側一部にドイツ語話者が住む地域

からできています。首都ブリュッセルの周りはオランダ語圏であり、フランダースの犬で知られるフランダース地方の中にあります。昔はオランダ語話者の街でしたが、現在は6割近くの住民がフランス語話者という街に変わっています。

同じ街に別の言語話者が共存する場合

フランス語を話す人とオランダ語を話す人が同じ場所に住んでいるとどうやって話すのだろうか。ここで英語で話すのだろうと考える人もいるかもしれません。しかし、同じ国に住む人同士が英語という外国語を話すより、双方が相手の言語を学んだり、地位の高かったフランス語をオランダ語話者に学んでもらうことで意志疎通を取るのが普通でした。

ヨーロッパでの英語とフランス語の地位

アジアの旧英植民地では英語が共通語として選ばれることがあるが、ヨーロッパでは英語はここ60年ほどで国際語としての地位において、フランス語に差をつけてきたに過ぎない。

また、隣国のルクセンブルクでフランス語が学ばれていることが示すように、以前はフランス語が国際語としての地位が高かった。ブリュッセルでも建国の初期ではフランス語が行政の言語とされていた。また、スイスのドイツ語話者も国際語であるために、フランス語を学びたいと考える人がいた。

ソース

Why is Brussels bilingual when only a minority of dutch speakers live there? /living in translation

国際都市としての急増する英語需要

ブリュッセルはEUの首都と言われる。EUの本部以外にもNATOの本部などもある。そのために、ヨーロッパ各国から職員が集まり、英語の使用が多い。英語圏からの人もいれば、スペイン語、ドイツ語、イタリア語の話者も統計に表れている。

ブリュッセル住民の英語力

ある統計によると、ブリュッセル住民の3割が上手に英語を話せると答えている。この3割は自分で上手にできると答えた人なので、それ以外の多くの人も外国人旅行者との簡単な英会話はできるレベルがあってもおかしくない。

ソース:Multilingual Brussels - Plan Marnix

国際都市としてさらに発展させるため、英語をブリュッセルの公用語にしようと考える人も現れた。ブリュッセルでは現状の2言語での行政も大変と言われるのに、更に一つの言語を加えるとなると、更に大変になるだろう。

移民を受け入れるブリュッセル

また、ブリュッセルとその周辺都市には移民が多い。ブリュッセルの周辺はオランダ語の地域なのだが、従来のオランダ語単一での行政や生活等を圧迫するという意見もある。

ソース

7. Why do the Flemish people hold so strongly to the monolingualism in the Vlaamse Rand?

フランス語を学ばない英語話者への反応

ブリュッセルに駐在する英語話者(anglophone)はブリュッセルで現地の人と交わらず、興味も示さないと書かれている。

ソース:Usage de l'anglais à Bruxelles — Wikipédia

ここにはさらに、国際都市として英語の需要が高まってはいるが、フランス語やオランダ語に対する危機ではないと考えられている。

スイス、ジュネーブでも同様の問題があると言う。

Lack of proficiency in French of English-speaking expatriates (even after years spent in Geneva) is an increasing concern.

「英語話者の駐在者が何年もジュネーブに住んでいるのにも係らず、フランス語の能力が低いことという問題が高まりつつある。」

ソース:Geneva - Wikipedia, the free encyclopedia

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