わからない英単語を他の言い回しで言いかえることのデメリット

私の友人が英語でチャットしていて「ひょっとしたら」を英語で何というのかわからなかったと言っていました。このようにふさわしい英単語がわからないことが積み重なり、英語学習に於いて、自分は語彙が不足していると考える人は少なくないことでしょう。

言い換えと説明で語彙の不足をカバーする

外国語を使っている人は多かれ少なかれ、思いついたこと日本語で表現してそれを忠実に翻訳するのではなく、知っている単語だけを駆使しながら話しています。極端に言えば、表現できない時は、言いたいことを諦めたり、別の内容を話すことで回避することも一つの戦略として有効なのです。

わからない単語がたくさんあって、英語が話せないと思っている人は、言い換えて表現してみましょう。言い換えるというより、長い言葉で説明するというイメージです。

例えば「リス」を外国語で何と言うかわからない時は、「木の実を食べるネズミのように小さい動物で、尻尾の毛がふかふかしている」などと言ったり。「小さい動物」でも場合によっては事足りるでしょう。

「ひょっとしたら」を私が英語で表現するとしたらmightを使って例えば:

He MIGHT come. But I'm not sure.

とmightを強調して読んで表現します。「ひょっとしたら」はmightよりも可能性が低いニュアンスを持ちますので、翻訳によって少し意味が変わっています。そこでさらにBut I'm not sure.などで情報を追加することで、ズレを修正します。このように長い言葉で説明することで外国語での表現と自分の意図とのズレを合わせます。

このような言い換えは、外国語を話す人は誰でもやっているし、母語でも無意識にやっています。この現象は『外国語上達法』のp167でも紹介されています。

辞書で見つけた知らない単語を使う弊害

上の例で考えてみます。「ひょっとしたら」を辞書を引くと、by any chanceという表現が出て来ます。もし、この表現を初めて見た場合、使わない方がいいと私は思います。それは、辞書での説明を見る限りでは正しいと思われる用法でも、実は間違うことがあるからです。

実際にby any chanceはTIME紙などで使われそうな書き言葉のイメージがあります。話し言葉でほとんど聞いたことはありませんが、意味と使い方は日本語の「ひょっとしたら」とほとんど変わらないと思います。(私が聞いたことがないだけで、本当は日常的な単語かもしれません。)

使い方を知るには、使われている文をたくさん見るのが良いです。オンライン辞書で効率的に例文をみるのも良いですし、ブログやニュース記事のサイトを検索で調べてみるのも良いです。

言い換えで単語を覚えなくなることも

しかし、この方法をやることが学習の停滞を招く原因になるとも言える。 知っている単語で表現することで、手持ちの単語を増やさなくてもよくなり、新しい単語を覚える機会も必要性もなくなるからです。

これは一種のジレンマで、上で書いた内容とは正反対ですが、どちらにも意味があるのです。両方の良さを受けるためには、量でカバーすると良いです。つまり、単語を調べずに自力で表現する訓練と、単語をたくさん覚える訓練の両方をするのです。

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