反対意見
オリンピックの語学ボランティアへの反対意見をTwitterなどネット上でよく見かけます。
News about 東京 オリンピック ボランティア on Twitter
反対意見の主なものは待遇に対する批判です。外国語能力という金と時間がかかった専門技能をただで提供することに以下の2点を論拠に反対されています。
- プロの通訳とボランティアが近しい市場で競争させられるため、外国語話者という専門技能者の価格を押し下げる
- 外国語通訳をただで手に入れるようと考えている背景には、外国語習得が簡単なもので報酬を出す価値がないと考えているに等しい
しかもボランティアをしている時間は他の仕事をできないので、機会損失が発生します。それだけでなく交通費・宿泊費も自費負担になると見られています。
「その待遇なら私はやらない。無報酬や出費にも係わらず自発的に参加したいという人は勝手にどうぞ」という話ではない。自分が参加しなくても、ボランティアによって市場における労働価値が下がるという反対意見のようです。
東京五輪より分かりやすい例が、2016リオデジャネイロ大会への東京外国語大学生のボランティアの件です。
東京五輪ボランティア、必要なのは語学と… 素案が判明:朝日新聞デジタル
東京五輪ボランティアはブラック? 募集条件「案」にツイッター反応 - withnews(ウィズニュース)
反対意見はプロの通訳者・翻訳家の方々も見られますし、それ以外の一般の方も見られます。
参加志願者の目的
ボランティアの待遇に対する批判がある一方、このボランティアは人気のようです。
私が思いつくその動機は
- ボランティアが好き・使命感
- 外国語の実践の場が手に入る
- 研修を受けられる
- 世界規模の催し物に係って貢献したい
- オリンピックが好きで係りたい
- 地元愛により
- 就活のネタ、趣味、思い出作り、社会勉強等
- 新しい知り合いを作る・人脈形成
このボランティアに参加する方の大半はプロの方ではないでしょう。プロの通訳や通訳案内士は繁忙期になり、人材が不足するいう声もあります。
プロの人の中でも報酬ももらわずにボランティアで参加したいと考える人もいるでしょう。
ボランティアに関する誤解 : オリンピックといえばボランティア
そもそも普段からボランティア活動に従事しない人にとって、ボランティアをする人の気持ちやボランティアの活動内容はわからないものなのだろう。
プロの方で賛成する人を私はまだ見かけていません。プロの方が賛成すると仲間から叩かれるという事情があるのかもしれませんが、それはあくまで私の想像に過ぎません。
しかし、ボランティアのための講習会の講師業で報酬をもらえるプロの方はこっそりと賛成していると思います。講師もボランティアかもしれませんが。
リオ五輪 学生通訳、ボランティア参加 東京へ懸け橋:毎日新聞
オリンピックボランティアは2020年の東京大会に限りません。ロンドンやシドニーなどの英語圏だけでなく、北京などでも動員されています。つまり、東京五輪だけが特別にボランティアを活用する訳ではないのです。
- 有資格者と法律による制限
- 予算
- 人数
通訳案内士法
通訳案内士法により、外国語を使って外国人を日本旅行を案内して、報酬を受け取るには資格が必要です。都市ボランティアの活動内容をもし有料で行うとすると、通訳案内士の資格がないと違法行為になります。
しかし、大会ボランティアは旅行ガイドをする訳ではないので、これは当てはまりません。
予算と人数
そもそもプロの通訳の雇用を大量に確保するにも、これほどの人が日本にいるのか、東京に集まって来れるのかという問題があります。ボランティアならこの問題が比較的容易に解決できます。
メリット
以下は私の予想です。
大会運営団体にとっては安上がり?
研修や経験を通して、大会後も日本国民を中心とした日本在住者が外国人案内に多少は積極的になるかも?
東京オリンピックのボランティアは2種類
東京オリンピック関連のボランティアと言っても、大きく分けて下記の2種類があります。
- 大会ボランティア
- 都市ボランティア
の2種類があります。上記で言及しているのは1番の大会ボランティアです。大会ボランティアは8万人の枠がありますが、全員が通訳ボランティアではありません。
知る | 東京ボランティアナビ―東京2020大会に向けたボランティアウェブサイト―
ボランティア|東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会
誰もが「日本代表」 ボランティアでめざせ東京五輪 :日本経済新聞