英語で書かれた古い本と現代の英語の雰囲気が異なる
以前、「本を読む本 (講談社学術文庫)」(How to Read a Book (A Touchstone book) (English Edition))という本を英語の原書で読んみました。
その時に感じたのが、高校の大学受験の教材と雰囲気が非常に似ていたということ。
現代の英語の特徴がない
現代の英語であるTimeやNewsweekなどの文章を見たことがあると、独特の読みにくさを感じます。こういう雑誌における現代の英語と学校英語は文章の構造も違えば、使う単語の傾向も違います。
現代の英文ではハイフン(-)でつないだ形容詞を見かけます。例えば、easy-to-remember nameなどのように、今までなかった組み合わせの言葉も見られます。
これらの書き方は昔の文章ではほとんど見られません。
学校の英語は英語学者の研究を基に
日本の学校の英語は明治時代にイギリスから取り入れました。その後、アメリカ英語を基準にするようになりました。
学校や塾の先生の多くは、学校で教える英語には詳しいですが、往々にして実際に英語を使っていない人も多そうです。さらに、これも憶測だが、学校の文法は、英語の研究者がまとめたものを、教育者はそれをそのままつかっているのです。現代英語で書かれたものを読まない英語教師たちは現代英語と昔の英語の違いに気付いてないかもしれません。
19世紀の英語
1859年に初めて出版された『自助論』(英語ではSelf Help; with illustrations of Conduct and Perseverance (English Edition) 。別名、西国立志伝とも呼ばれる)や『武士道』(Bushido, the Soul of Japan (English Edition))などを読むと、現代語とはかけ離れていることがよくわかります。文体についてさらに言うと、高尚な文体とはこういうものだということもわかります。
受験によって古い英語を学んでいる
古い英語shall
例えば、shallという言葉は現代語では法律や憲法、条例以外ではほとんど使われない。かろうじて、映画「チャーリーとチョコレート工場」でチャーリーが金のチケットを説明するときに一度だけ、学校でならった特殊な意味での使用例に出くわしましたが、それ以外では皆無です。
正式な条文で使用
香港に入国するときの入境カードにはこの単語が使われていたが、それは上記の条例等に含まれます。つまり、正統な用法ですが、条例ということでわかるように、普通の会話から覚えるべき外国人としてはほぼ無縁なので覚える最初のほうは必要はありません。
ought toが現代で使われるケース
Ought toも同様。以前、イギリス人の若い先生に聞いたところ、イギリスの田舎のおばあちゃんしかこんな言い方しないと言っていました。私はこの表現を映画で聞いたことがなく、一度だけニュースで見かけたことしかないです。
had better
そういう意味では、had betterも比較的あまり使われない英語だと思います。一度だけ、映画の授業でヒッチコックの映画を見たとき、「コップの水を全部飲め」という意味の
You’d better finish it.
というのを聞いたことがありますが、それ以外では、あまり聞きません。
受験で出る英語とは?
学校や受験の英語というのは、上の二つのように、あまり使わないものをレベルの高い問題として出題する。問題を作る側からすれば、参考書の隅のほうに出てくるものというのは、よほど成績の良い生徒しか解けないから生徒の点数を差別化しやすいのだろう。しかし、実用面を考慮するとほとんど使われない言い方を覚えさせるなんて非効率だと思います。
学校の英語もコロニアル(植民地的)な英語
他にはSpectaclesという単語も死語だが、これも学校の教材で覚えました。しかし普段はこんな言い方はせず、glassesという言い方のほうがよく見かけます。ただし、シンガポール人の友達は日常生活で使っています。これは植民地時代の名残のようなものだろうと思います。
つまり、昔イギリス人がシンガポールにいたときに使っていて、現地人もそれを使っていた。独立した後も、現地の方が使い続けたということでしょう。インドの雑誌などを読んでいても似たような古風な感じがあります。
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