今回紹介する内容は、中国語を勉強中の日本人が中国語の単語を覚えやすくなる言語学の知見に基づいている。隋の時代から日本に漢字が伝わるころ、日本人がどう中国語の音を日本語にし、その後日本でその音がどう変化したのか。
また、元々の中国語の音はどんな音だったのか。それらを明らかにすれば、現代中国語と今の日本語の一定の変化パターンが見えてくる。
日本語の漢字と中国語との比較
日本語→中国語 en-ian
日本語で「en」と読む字、例えば「電(电)」は中国語でdian4と読む。広東語ではdin6と読むように、「イ」と読む。
日本語→中国語 h-k/g
古代日本語にはhの発音がなかったようである。そのため、中国語のhの発音をk/gで発音していて、現代日本語でもそうである。
- 婚kon-hun
古い日本語→現代日本語 p-h
現代日本語にはhの音はあるが、どこから来たのかというとpの音がfを経てhの音になったと言われる。(p-f/ふぁ-h)
その証拠にハ行の濁点はバ行であるということが挙げられます。もともと、ハはpaと読まれていて、濁点を付けるとbaと読んでいたと考えられる。これが、なぜ「は(ha)」の濁点が「ば(ba)」である根拠です。
さらなる根拠が「ひ」と「ぴ」の対応関係が現代日本語にも残っているということです。光(ひかり)という言葉はもともと「ピカリ」と発音したとすると、光りが「ぴかぴか」するという擬態語関係がある。
他にも、「ひよこ」と「ぴよぴよ」という擬音語にも関係がある。擬音語の発音はpからhに変化しなかったようであるが、擬音語以外の単語は、漢語を含め、発音が変化したようです。大学の比較言語学の授業で習いました。
中国語→古代中国語(ここでは広東語で代用する)→日本語 xi-h-k/g
北方の方言を基に作られた中国語と、広東語やベトナム語では一定の変化法則が見られる。
- 下xia4-ha6
上の変化法則と合わせると、中国語のxi-という発音と日本語のk/gが対応しているのがわかる。但し、中国語の発音がxiだけの字はこの法則が使えず、xiaやxianのようにxiの後に母音がさらに続く字にこの法則が適応できる。例えば、「西xi1」や「習(习)xi2」にはこの法則が使えない。「習」はまた別の機会に説明する。
En-ianの法則とこの法則を合わせると
- 現(现)gen-xian4
となる。
日本語方言における「は」「しゃ」の対応関係
ハからシャという発音への変化は他の言語でも見られる。関西弁では「しはる」というが、ほぼ同じ意味で博多弁では「しんしゃる」或いは「しんしゃー」という。ここにもハとシャの対応が見られる。←これは僕が自分で発見した法則なので、他のところでも同じことを書いた資料があるかどうか、僕はわかりません。
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