中国語の発音と日本語の発音の変化規則 日本語→ベトナム語→広東語→中国語 g-ng-w/y(子音無し)

以前の投稿「中国語の発音と日本語の変化規則」の続きです。

日本語でが行、中国語でw、広東語でng-

我という字は日本語では我田引水のようにガと読むが、中国語ではウォと読む。この日本語のガ行の発音はどこから来たのか。広東語ではngo5と読む。

元は鼻濁音

この発音が元々の音である。最初にngが来るとどういう発音になるのかと言うと、所謂鼻濁音と言って、例えば「かがみ」の「が」を読むときに放送や歌手が使っている(一部地域の方言では普段も使うらしい)発音のことである。詳しくはyoutubeなどで調べればわかる。

中国語や日本語での変化

中国語はこの子音を完全に読まなくなったのに対して、日本語ではその音をガ行で読んでいる。Ngからgの音になった変化は日本語で起きたのかもしれないし、日本語に入る前、日本人が参考にした中国人の発音が既にgだったのかもしれない。例えば、福建省の南部の方言、閩南語では五をゴと読む。

しかし、広東語もngの発音をかなり失っているし、広東人もよくわからなくなっている。我という字もo5と言ったり、元々ngがない単語にngを付けて読んだりしている。広東語もかなりこの音を失っているので、今回はより古い発音に近い発音を維持しているベトナム語を使って説明する。

日本語←ベトナム語→広東語→中国語

  • 議(议)gi- nghị-yi5-yi4
  • 語 (语)go- ngữ-yu5-yu3
  • 五go-ngũ-ng5-wu3 この字に関してはベトナム語より広東語の方がオリジナルに近いと思う。
  • 我 ga-ngã-ngo5-wo3 但し、ベトナム語でこの単語を使われているのを僕は見たことがない。この単語はĐào Duy AnhのTừ điển Hán Việtを調べて見つけた。
  • 銀 (银)gin-ngân-ngan4-yin2

つまり、元々の中国語では鼻濁音だったが、日本語ではガ行となり、中国語では子音無しとなった。こう覚えれば中国語の単語も日本語の音読と関連させてすんなり覚えられるだろう。

 

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