国土の大きな中国では標準語である中国語を話すときにも地方の訛りが出てしまいます。それらは教科書にはなかなか出てきません。中国語を勉強して実際に中国に行ってみると、訛りがきつくてよくわからないということもよくあります。僕が知っている範囲でまとめてみました。
反り舌音がない
中国語の反り舌音を発音するのが難しいです。それは中国人にとっても同じです。沿岸部の多くの地域の人は正しく発音できません。彼らも自分の発音が標準的(正しい)な発音でないことは分かっていて負い目を感じているようです。
具体的には以下の様に発音されます。
- Shi →si
- Ri→ zi,yi,li,ri(英語風のアール)これは色んな訛り方があります。
- Zhi →zi
- Chi →ci
よく聞く例では
- 不是Busi
- 吃饭Cifan
- 中文zongwen
- 知道zidao
- 二e,a
- 时间sijian
- 反正fanzeng
- 十四sisi
該当地域
華南、華東の出身者。例えば、広東省、福建省とその付近、台湾、シンガポール他海外華僑。広東省以外はあまり行ったことがないのでその他の地域はよくわかりません。
2、反り舌音が強い
反り舌音ができない地域とは対照的に、北京、天津周辺などではやたらと反り舌音が使われているようです。教科書ではこのような反り舌だらけの発音を習いますが、実際にこのような発音をする地域は限られています。
- 这儿
- 哪儿
他の多くの地域では、「这里」「哪里」と言います。因みに、台湾では、「這裡」と書き、香港では「這裏」と書くようです。なぜ香港はこう書くのかはよくわかりません。
- 一点儿 (これも他の多くの地域では「一点点」と言って「一点儿」とは言いません。)
- 这边儿
- 一会儿
- 耳根儿
- 花儿
- 画儿
Lとnに区別がない
- 两块钱Niangkuaiqian
- 但是呢dansile(標準的な「e」ではなく、日本語の「え」のように発音する人もいます)
- 湖南hulan
特に湖南省の人にこの傾向が強い。広東省にもある。ちなみに、ベトナム北部の人にも区別ができない人がいます。中国湖南省から陸続きにベトナム北部まで連続してこの現象が見られることには何かしらの意味があると思います。例えば、憶測ですが、国境を跨いでこの地域に住む人々は共通の祖先を持っているのかもしれません。
軽声がない
教科書や北京では元々の声調を失って軽声で発音しますが、標準的でない発音も多いです。しかし、発音が標準的でなくとも、全く問題なくわかります。
- 东西Dong1xi1
- 麻烦Ma2fan2
- 地方di4fang1
5、xi-が英語風のsi-
シンガポール人や広東人に見られます。英語のsingの「スィ」のような発音です。
- 像Siang
- 星sing
zi、siの母音が発音できない
広東の中年以上の人にまれに見られます。若い人の方が中国語が上手だという言われますが、本当のようです。
- 自己jiji
- 四块钱sikuaiqian(上と同じように英語風のsiで中国語の「スー」ではない。これは本当に聞きにくい。七块钱なのか十块钱なのかわかりにくいです。)
- 橙汁chengji
6、nとngの区別がない(らしい)
上海人とその周辺の人は音節末のnとngが区別できないらしいです。私は詳しくないので「らしい」という言い方に止めておきます。
ある本で広東語にはnとngの区別がないとの記述を見かけましたが、広東語にはnとngの区別はあります。
まとめ
特に、反り舌音の区別がないことを覚悟したほうが良いです。実際、中国の華南地区に住む日本人含む外国人もこの訛りでしか話せない人が多いです。標準的な中国語さえ同音異義語が多いのに、反り舌音・非反り舌音の区別がなくなると、更に意味区別が困難になりますが、台湾人はそれでも問題なく生活しています。
自然な中国語を聞くには
標準的でない中国語を聞くには教科書よりネット上のビデオを見たほうが良いでしょう。台湾のバラエティやドラマなどで聞くことができます。
これらの教科書も、実際の台湾人の普段の発音というより標準的な発音に近いので、現地に行くと習ったものと少し違うと感じる可能性があります。
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