香港の中国語「あなたは閣下でBoss」

香港で地元の人が話す言語は広東語です。しかし、正式な場面で書く時は中国や台湾と同じ中国語で書きます。使う漢字の種類は、台湾と同じ繁体字で、中国で使う簡体字とは異なります。日本で中国語を習う場合は、大半の場所で簡体字を教えています。

しかし、香港の繁体字は台湾の繁体字と少し違う点があるので紹介します。

ところで、香港からフェリーで1時間の距離にあるマカオの中国語に関しては、私はマカオに行った時にあまり注意して見てなかったので、何とも言えません。

香港の夜景

マカオの人は香港と文化的に近いです。歴史的には別の国の植民地でしたが、その後の境遇は共通する部分もあります。

例えば、サークルK香港のウェブサイトの店舗紹介に「マカオ」という項目があるということがそれを物語っています。アップルデイリーという新聞は香港と同じものがマカオでも売られています。

現在地/You are here.が閣下在此.

香港での中国語の道案内ではYouを表す表現が閣下(かっか)と書いてあることが多いです。この言い方には、中国人も驚きます。

道案内以外にも、South China Morning Post(南華早報)から受け取るメールにも以下のように使われています。

If you do not wish to receive this, please click here.

如閣下不想再收到此電郵,請按這裏。

ちなみに、このサウス・チャイナ・モーニング・ポストという新聞はたまにホンマでっかTVにも登場します。

広東語を話す時に閣下という単語を聞いたことはありませんので、香港の書き言葉特有の表現です。(台湾ではどうかしっかり確認していません。)

この「閣下」という表現を聞くと、客のことをBossと呼ぶインド人店員を思い出します。Bossと呼ばれると、植民地政府の役人みたいで突然偉くなった感じが居心地が悪いです。

中国での表現との比較

中国では「你在这里。」と最も口語的な書き方か、「你在这。」或いは「您在此。」などと書かれることがあります。

ちなみに広東語には「您」という言い方はありませんが、香港でも書き言葉では使うことがあります。

私見ですが、中国より香港・マカオの方が伝統的な中国語で書かれているという印象を受けます。マカオでは「此門禁止進入」と書いてありましたが、中国ではあまりこのような言い方をせず、「禁止进入」と書くか、庶民でもわかるように「此」という漢字を使わず「这」を使うことが多いように思います。

這裡/这里が裏

上のメールにもあるように、「ここ」を「這裏」と書きます。中国語での発音は中国や台湾と同じです。広東語でもこのような言い方はせず、「ここ」は「呢喥」「呢邊/呢边」と言うので、話し言葉から影響を受けた訳ではありません。

台湾の繁体字では「這裡」と書きます。なぜ香港だけこの字を使うのかわかりません。

この言い方の他にも「此處」という書き方もあります。これは香港と台湾での書き方に違いはありません。

異体字

台湾と同じ繁体字という字体を使いますが、糸偏が香港と台湾で異なります。

中国語版:從外國人角度來看的3個港式書面中文的特點_权太_新浪博客

正式な場での話す広東語:車内アナウンス

地下鉄の案内は正式な場面なので、書き言葉のような広東語になり、普段の会話では使わない表現を使います。

  1. 本次列車即將開出
  2. 下一站,九龍糖.乘客可在該站換成東鐵線.左邊車門將會打開.
  3. 請勿靠近車門.
  4. 請小心列車與月台之間的空隙.
  5. 呢個係東涌線嘅尾站。多謝乘搭港鐵。

2.が話し言葉なら「喺」と言うところを中国語のような「在」と言っています。中国人や香港人は違和感を覚えませんが、私は面白い表現だと思いましたが、このような表現のせいで私の場合、初めは聞き取れませんでした。

3,の中国語の放送は請不要靠近車門.と読んでいます。中国語では「請勿」を「請不要」と読むことが多いです。時々「請勿」と読む場所もあります。

4.「與」は書き言葉で、話し言葉では「同」を使います。

5.「この駅は~」の部分は他とは違い完全に広東語で読んでいます。中国語では「這是東涌線的終點站。」と読んでいます。中国語でも「謝謝乘搭港鐵。」と読んでいます。普通の中国語なら「乘坐」と言い、「乘搭」という言い方は広東語っぽい表現です。二つ目のビデオの3:20辺りです。

香港の車内アナウンス...懐かしい。

広東語で書く時

基本的には、正式な場で物を書く時には他の地域と同じような中国語で書きますので、広東語で正式なものを書くということはありません。関西弁などの方言で学術論文を書くことがないのと同じです。

カジュアルな場面では話し言葉を反映した書き方をします。アップル・デイリー(Apple Daily、蘋果日報)という新聞やゴシップ雑誌などでは正式な中国語とは違う、話し言葉特有の広東語で書くことが多いです。

但し、そのような出版物でも広告の注意書きなど正式な場面では中国語で書きます。

<香港・広東語>