客観的な比較対象や根拠がない
よく「日本はこうだから」という発言を耳にしますが、そのような発言から日本だけ特殊で、日本以外の世界の大部分が同じ価値観であると思っている印象を受けます。
典型的な例として、
日本語は世界的に見て極めて特殊だ
と考えている人がかなりいます。では、日本語と比較対象としての他の言語について詳しいのかと考えると、ほとんどが英語です。数少ない比較対象を以て客観的に「日本語だけが特殊だ」と結論づけることはできません。
参考:主語の観点等から見て日本語は世界でも特殊な言語ではない - 日本人多言語話者の外国語学習法
また、最近の例では、日本国の憲法9条が掲げているような戦争放棄条項は世界で唯一のものだと考えていたところ、実は他国にもあることがわかったと言われています。
それと、日本に来た外国人が日本のことを述べる際にも、その特徴が本当に日本だけなのか、他の国、例えば東アジアにも同じことが当てはまるのではないかを考えていない場合があります。
他国を勝手に美化
このように実は私たちは根拠を持たずに日本の政治や価値観等あらゆる面で特殊だと考えていることが多いです。そのような思い込みの内、多いのが自国の現状を嘆き、他国は良いに違いないというものです。
このような考えは日本に限らず、他の国でも同じようなことを言う人はいます。この点から見ても、日本は特殊ではありません。
日本人だけの特徴ではないもの
(日本人)で紹介されている文章の一部を引用します。
(前略)
- 自分の意見や要求を主張するのを避ける。
- 「目上の人」や年上あるいは経験豊かな同僚に指示したり命令したりするのを遠慮する。
- 同僚や「目上の人」を評価するのを遠慮する。
- 自分の諸権利を要求するのを避ける。
- 相手のいうことが理解できなくても、質問を遠慮する。
ソース:『(日本人)』p23で引用されている『タイ人と働くーヒエラルキー的社会と気配りの世界』より
これらの特徴は日本人を表しているように感じますが、実は元々タイ人の特徴を記述したものです。つまり、日本人が自分の専売特許的な特徴と考えていることが他の国にも存在しうるという事を示しています。
どういう態度で外国や自国をとらえたら良いのか
外国を分析して自国を知るという点では、ちきりんの本が参考になります。
外国を除外して日本だけを論じる場合は間違えではない
例えば、
日本はお金に対する教育が全くされていない
と言った場合に、
他国の状況はわからないが、日本だけを個別に見た場合
という認識があれば、日本の異常性について指摘しているわけではないと言えます。
しかし、
海外と比べると、日本はお金の教育がない。海外は進んでいる。
と言う認識で、他国との比較という根拠がない場合、外国を良く思っているだけです。
このように、「日本は...」という発言からは日本だけを特殊だと考えているかどうかは判断がつきません。