韓国・北朝鮮の人名・地名はなぜ日本語の音読みではないのか

韓国人の名前の日本語読み

韓国人と北朝鮮の人の名前を日本語で読む時、韓国語の発音を日本語の近い音に当てて読みます。日本語の発音を当てるルールは『増補改訂 韓国姓名字典―韓国・朝鮮の人名を正しく読むために』を参考にしてください。

なぜ日本語の中で韓国語・朝鮮語読みをするのか

以前は日本では韓国人・朝鮮人の名前を漢字で書き、それを日本語の音読みで読んでいました。

変更のきっかけとなったのは、ある在日朝鮮人の方が起こした裁判です。

1975年、北九州市の崔昌華(チュエ・チャンホア)氏は、NHKが彼の姓名を日本語読みで報道したことに対して、「姓名は個人の人格と民族主体性の象徴。当然、母国語読みで呼ばれるべきであり、故意に日本語読みをしたのは、人格権を侵害し、民族の誇りを気づ付けた」として提訴した。

出典:『増補改訂 韓国姓名字典―韓国・朝鮮の人名を正しく読むために

参考:最高裁判例(PDF形式)

以下はネットでの情報で信憑性を保証できませんが、この裁判の後、マスコミ各社が韓国語・朝鮮語読みを採用しはじめたそうです。 (関連機関からの要請に因るとの書き込みもあります。)

池上彰さんの番組によると、韓国政府と日本政府の間でお互いの固有名詞(人名・地名等)の呼称に関して取り決めがあったそうです。

以前は日本語の音読読みだった

以前は、このような読み方をせず韓国語の名前を漢字に置き換えて、その漢字を日本語読みしていたようです。例えば、李承晩初代大統領を「りしょうばん」と呼んでいましたが、今はイ・スンマンと呼ぶことにしているそうです。近代以前にどう呼んでいたのか気になります。

漢字かカタカナか

しかし、日本語で書くときになぜ漢字を当てるのか分かりません。一般の韓国人はカタカナもわかりませんが、自分の名前の漢字も知らないと思います。自国語でも使わない漢字をなぜわざわざ使うことになっているのかわかりません。

韓国の人名のうち、漢字を持たない名前もあります。その場合は、中国語にする場合は近い発音の字を当てます。

 

漢字で書くのに読み方は日本語読みでないので、韓国語の知識がない日本人は正しく読めません。

韓国では漢字も使われる

韓国語の中に使われる漢字

韓国のニュースに「日」や「韓」、「中」などの漢字が使われることがあります。

また、日本人の人名や地名では漢字が使われます。日本で使われている新字体ではなく、旧字体が使われます。例:시부야(澁谷)구(私が見た文章では「区」は漢字ではなく구とハングルで書かれていました。)

一方で、韓国の芸能人はほとんどカタカナだけで書かれています。漢字を使うと読み方がわからなくなるのが理由だと考えられます。芸能人という顔と名前を覚えられることを重視しているためでしょう。

読み方

例えば、朴 槿惠(パク・クネ)大統領はハングルで書くと박근혜(英語はPark Geun-hyeと当てられる)です。それを日本語で読む時は、パク・クン ヘと一文字ずつ分けて読まず韓国語で普通に読む時のように読みます。韓国語の発音に近づけると、パックネとなりますが、そこまでは変えません。

ちなみに、韓国語の人名地名の英語の当て方も特徴があるのでよく観察してみてください。パクさんをPark、イさんをLeeなど。

ベトナム人の名前を日本語読み

カタカナで書き、漢字にすることはありません。ここが韓国語と違います。

ベトナム人の名前も漢字にすることができます。ベトナムと漢字の関係はベトナムの歴史と関係があります。

これならわかるベトナムの歴史Q&A』などの簡単な本で学ぶのが良いでしょう。

Tranはベトナム語風にチャンと読みますが、フランスに移住したTran Anh Hung監督の名前はトラン・アン・ユンというフランス語読みがされています。

世界の原語ママ

英語の中にフランス語が入っていると、英語に置き換えられていないものがあります。

例えば、QS World University Rankings® 2015/16 | Top Universitiesに登場するスイスとフランスの大学名が英語に書き換えられていません。

  • EPFL (Ecole Polytechnique Fédérale de Lausanne)
  • Ecole normale supérieure, Paris

フランス語に限らず、他の言語でも原語のままで使われる例があると思います。

 

<外国語の人名関連>