バイリンガルや多言語話者は何語で考えているのか

状況や話題で言語を切り替え

英語で会話したり、英語の文章を読んでいる時や読んだ後は、英語が出て、中国語でチャットする時は中国語でと言った具合です。誰とも話していない時や何も読んでいない時でも、いつも同じ言語を使っているという訳ではありません。

バイリンガルのハーフがされる質問 | コラム一覧 | ハーフを考えようのサンドラさんの話が参考になります。

考える話題で言語が切り替わることもあります。シンガポールにいた時に英語ばかり話していたなら、当時のことを思い出すのに母語が少しだけ出にくくなるということもあります。

いや、言語は関係なく、映像を思い出す時には言語は関係ないのかもしれません。

 

この現象と明らかに日本人だとわかっている人に対して、英語や中国語が出にくくなる現象は関係があるのかもしれません。

 

外国語を流暢に話している人は母語に翻訳せずに理解しています。詳しくは、外国語の単語を翻訳せずに理解できる根拠で説明しています。外国語での質問にも瞬発的に返事をしているので当然です。

また、母語に上手く翻訳できないけれども理解できるし使いこなせる外国語があることも翻訳をしていない証左だと思います。外国語が話せる人が良い通訳者とは限らない限らないのです。

redditユーザーは母語より英語で考えてる人がいる

「バイリンガルの人は何語で考えてる」というこのスレッドによると、英語の国の人以外のユーザーで普段から頭の中で英語で出てくるという人が多いです。

しかし、これで外国人はみな英語が上手いと考えるのは早計です。このスレッドに解答している人が特殊な人ばかりが集まっている可能性もあります。

redditを利用する時点で英語を読めて英語で答えられる人ばかりが集まっています。その上、redditユーザーには来る日も来る日もこのサイトに貼りついている人で英語を使う頻度が特別高いのかもしれません。

非英語圏の人はどれくらい英語がしゃべれるのか

母語が勝つ場合

ただ外国語に慣れるまでは、母語が出ない時は、言語のないぼーっとした思考状態になることもあります。外国語で考えていても、スムーズに単語が出てこないこともあります。

これは母語で言葉に詰まる現象にある意味似ています。母語でも時々言葉に詰まるので、外国語を流暢に話せないからと言って、その言語を使えないとは限らないのです。

複雑な事柄を考察する時

数を扱う時の言語

深い思考をする時は母語など慣れた言語に切り替わることもあります。 英語で四則演算の表現を知らないのに英語を使って暗算できません。特に、一人で数を数える時や複雑な計算をする時は慣れた言語に切り替わることがあります。

市場に売られる値札付きの野菜

中華系マレーシア人(広東)の友人は簡単な計算は広東語で、大きな数字はマレー語で考えると言っていました。

マレー語と比べると、広東語の方が単語の長さが短いので速く計算できると言っていました(例えば、9は広東語でgau2、マレー語でsembilanなので広東語が短い)。

実は、広東語の方が子供の頃から生活の中で使っているので使い慣れていて、複雑な計算は学校で習った時にマレー語で授業を受けていたからなのかもしれません。

彼らなら英語でもやろうと思えばできるはずです。

何語で考えているかわからない

というか、何語で考えているかを意識することは難しい。無意識に行っていることなので、それを認識しようとするのは雲をつかむようなものです。

それどころか、以前見たニュースを何語で読んだかもはっきり思い出せないことがあります。これは昔読んだ内容は覚えていても、本のタイトルや表紙の様子を思い出せない現象に似ています。

以前読んだ小説の場面を思い浮かべることはできてもどんな言葉だったかは分からないことにも近いかもしれません。

思考に言語は必要

失語症でない健常者なら、頭の中で言語を使って考えることができます。「何語で考える」という質問では、それを頭の中で使っている言語だという前提に話が勧められていますが、思考は言語を介していないという説もあるようです。

 

言語で感情を感じるのではなく、感情が起こってそれを言葉で描写しているだけ。「嫌だな」と心の中で感じたのを言葉にして頭の中でつぶやいているだけです。言葉よりも先に考えや感情が起こります。

言った言葉に影響されて感情が変わるという説もありますが、言葉にしなくても感情は沸き起こるので、自己暗示は特殊な例として除外して考えます。

思考の流れを止めるのは難しい

瞑想する少女

思考を止める手段として瞑想が代表的です。瞑想をやってみるとわかりますが、言葉を止めるのは簡単ではありません。

瞑想で思考を止める方法には色々ありますが、私は『自分を変える気づきの瞑想法―やさしい!楽しい!今すぐできる!図解実践ヴィパッサナー瞑想法』のヴィッパサナー瞑想が参考になりました。思考を止めるのではなく、言葉を頭の中で吐き続けるという方法です。

似た現象に、黙読があります。黙読では、声には出しませんが、頭の中で一字ずつ読み上げて読んでいる人が多いです。音声化せずに読めば速く読めますが、慣れるまで理解度が壊滅的になります。

さらに難しいのが、外国語を読む時に頭の中で音読せずに読むことです。母語での速読習得の手法と同じく、無理やり慣れさせる方法しか思い浮かびません。

思考をする時に言語が出る理由

考える時に図にすると考えをまとめることができるように、考えを言語に落とし込んだほうがはっきり判断することができます。

言語で人格が変わるのか

言語で人格が変わるのではなく言語が持つ文化で行動が変わって人格が変わったように見えるのかもしれません。英語を話す時はアメリカ文化の中にいる前提で話しているから、アメリカ人のように話すためだとも考えられます。

それを検証するには、ほぼ同じような文化で使われる2つの別々の言語のバイリンガルで実験すると判明します。

関連図書:『バイリンガルは二重人格』

このサイトの文章は学術的なものではなく、実体験や他人の観察などを基に書かれています。

 

関連動画:What Causes The Voice in Your Head?| Thoughty2

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