マカオで生まれた言語パトゥアがまだ使われているらしい

夜のカジノリズボアを眺めて

世界に散らばるマカオ人の集会で議題に上がったもの

マカオで発行されている英字雑誌Macau Businessで面白い記事を見つけました。それによると、世界に散らばるマカオ人の集まりが2014年開かれるらしいです。

http://www.macaudailytimes.com.mo/macau/48825-iim-session-on-macanese-identity.html

マカオ独特の言語

マカオとポルトガル語

マカオは旧ポルトガル領でしたが、現在ポルトガル語ができる住民はほとんどいません。

しかし、学校でポルトガル語を習うし、街の標識にはポルトガル語が書かれています。地名は中国語のほかにポルトガル語名もあります。

マカオでポルトガル語は通じないようです

ポルトガルのアジア進出を物語る言語

現在、マカオ住民の多くが広東語を話す中国系です。

しかし過去までさかのぼって見ると、マカオを行き交う人々はポルトガルのアジア進出の歴史と大きな繋がりがあるのです。そんなマカオではいろいろな言語が混ざり合いました。そのマカオ独自の言語がパトゥアです。

ポルトガル人のアジア進出

ポルトガル人はマカオに定住し始める前に、現マレーシアのマラッカにも拠点を作っていました。

マラッカでポルトガル人と現地人が交流することで、新たな言語ができます。マラッカで生まれたこの言語はクリスタン語(Kristang)と呼ばれます。現地のマレー語やシンハラ語(インドの南にあるスリランカの言語)などとポルトガル語がそれぞれの要素を持ち合わせてクリスタン語が作られます。

この言語を育んだポルトガル人とアジア人たちの混血の人たちのことをユーラシア人(Eurasian)またはクリスタン人などと呼びます。ユーラシア人と言えば、マレーシアの格安航空会社、エアアジアの社長であるトニー・フェルナンデスなどが有名です。

マカオのパトゥアはこのクリスタン語が基になっています。マラッカなどのポルトガル人の拠点からマカオにやってきた人がクリスタン語をマカオに持ち込んだのです。

まとめますと、マカオのパトゥアまでの道のりは:

ポルトガル語→クリスタン語→パトゥア語

関連記事:ポルトガル語が次の重要な言語になる?

パトゥアの話者数と世界的分布

どの時代でも話者が数千人程度で多くはなかったようです。現在はUNESCOにより瀕死の言語に分類されており50人(2000年、UNESCOより)しか話者がいません。

マカオの人口は約50万人なので、1万人に一人が話せるということになります。マカオでこの言語を聞いたこともないし、その存在を知っている人もあまりいないと思います(これはマカオの人に聞いてみるしかない)。だから、今回上の記事を読んでちょっと驚きました。

 

現在、パトゥア話者は香港、アメリカ、南米など世界各地に散らばっている。これをみればマカオ人がどこに移住したのかわかります。

 

広東語のwikiによると、マカオ人はパトゥアを話し、書くときはポルトガル語で書くとのこと。まさに広東人が話す時は広東語で、書くときは標準中国語を書くようだと記されています。

<参考文献>

<マカオの言語>